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地獄
第6章 序章
「か、管理人さん! なんでこんなことを! 犯罪ですよこれ!」
「それが?」


 坂本は片手で胸を揉み捲り、時々乳首をコリコリと刺激しながら軽く聞き流す。


「あん! やめて! 警察に行きます!」


 奈緒子が叫ぶ。
 すると坂本が笑った。


「そうか、だけど奥さんも家族を失うぞ。男に恥ずかしい姿を晒しただけでも、旦那は会社に居られない。そして何よりも、子供達がイジメにあうな」


 そう言うと、ビデオカメラの位置を確認して角度を変え股を見る。
 舌をなめずりながら次の狙いを定める。


 奈緒子が言葉に詰まる。
 坂本の反論が事実だからだ。例え強姦されて相手が一方的に悪くても、被害者にはそこまでの救いの手はない。
 これが世間にバレたなら、夫は仕事を失うことはないにしても、肩身が極端に狭くなる。出世をすることだって頭打ちかも知れない。
 もっと深刻なのは、子供達だ。
 イジメは確実に行われて、みんなから「そんな母親の子供!」と笑い物にされる。
 つまりは、こうなった時から……堕ちるだけなのだ。
 

「奥さん、楽しもうぜ! もう俺の女! だろ」

 
 坂本が「女」を強調する。
 奈緒子は声にしながら泣いた。どうにもならない地獄の始まりを知る。


「そろそろ、奥さんのマ○コを見てやる」


 坂本が鼻息荒く股に顔を埋めた。
 チクチク刺すエナメル線に、少しイラッとする。しかし股から匂う芳ばしい臭みに、ニヤニヤ笑ってしまった。


 奈緒子は先ほどまで家事をこなしていた。
 家事と簡単に言うが、これほど身体を使う作業はない。時期的なことも絡むが汗は流れ身体に染みつく。特に股は染みつきやすい。


「奥さんがブリーフを、洗濯してくれたから。今度は俺の番だな」


 坂本が言う。
 奈緒子はまだ泣き喚いていた。
 



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