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地獄
第22章 愛の証人
 奈緒子が周りを見渡す。
 所々にあるビデオカメラは「映している!」と薄ら認識してはいたが、これ程までに強烈なインパクトを与えるとは思っても見なかった。
 裏を返せばそれくらい坂本の編集が手が込んでいたことを物語る。


「何なのこれ? やめてー!」


 奈緒子が暴れ出した。
 坂本が後から力任せに押さえつけ、一時停止する。


「奈緒子、ビデオカメラの存在を見てはいたろう? 動画送った時も予想はついたはず。今頃何を言ってるんだ。観ろ! お前の身体の言葉を聞け! 俺と楽しんでいるエロ女の姿だ」


 耳元で坂本は呟く。
 その声はさほど大きくはない。しかし強迫性は強烈で、奈緒子の心をまた一つ鎖で絡めていく。
 奈緒子が震えながら、涙を流す。
 映像にされ恥辱を味わう苦痛、そして逆らった時のお仕置きとして流失されてしまう恐怖。
 何時しか号泣になった。


「奈緒子の心配は手に取ってわかる。心配無用だ、俺のいいなりになるなら俺とお前の『愛』にしよう」


 坂本が愛を使う。
 すごく重たい響きで使い方次第ではコメディになりえるが、坂本が奈緒子に使ったそれは、最強で最凶な最狂の呪いだった。


 奈緒子の号泣が少しずつ、消えていく。
 愛……そんな呪いに屈服したのだ。
 涙を流し終わると、画面を見上げる。


「早く終わらせたい。観ないと終わらない。続けて」


 胸を詰まらせて言葉にする。


「奈緒子、もっと丁寧に言葉を使え。続けて? その言い方はダメだ」


 デカパイを揉み、クリ〇リスを指で擦って遊ぶ坂本が許さない。


「テレビを観ます。だから再生していただけませんか? お願いします」


 奈緒子がはっきり言葉にした。
 坂本はクリ〇リスから指を外す。
 リモコンを掴む。


「仕方ないな、エロ女のお強請りなら聞いてやろう。しっかりと! 観ろ! これは命令だ」


 そして再生が始まる。


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