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どこか壊れている
第1章 存在意義
かすかに吐息が漏れたのが確認できた。男は幾分か対応に困った様子で、少し間を置いた。

「突然なんですか。あすかさんは男性経験が豊富でしょう。嘘はいけない。」
「あら、私がいつ嘘をつきました。このサロンは、お客様と私の強い信頼関係があってこそなんとかやっていけてるんです。本当におっきいと思ったの。」
「ほんとですか。」

実際、男の陰部は、普通よりちょっと大きいかくらいのものだった。普段同性の陰部なんて目にすることはないはずだから、こう言っておけば結局その気になるものだ。

「それともう一つ。」
「今度は何ですか。」
「私、もう一年も智さんに施術していますね。それで気づいてしまって。」
「何ですか。」
「乳首、、敏感ですよね?」
「それは。」
「いいんです、もう一年も通っていただいているんですから。はずかしがらないで。」
「はずかしがるだなんて。ただの生理現象でしょう。」
「その通りですよ。あくまでここは男性エステのお店ですから。乳首を気持ち良くするというのは本来の目的から離れてしまうわけですけど。信頼できるお客様に限ってだけ、そのような施術をさせていただいてますの。」
「そうなんですか。」
「ええ。でもひとつ条件があって、。」
「何ですか。」
「この、ひとつ上の施術をさせて頂くお客様には、ご新規のお客様を紹介して頂くことになっていますの。」
「なるほど。あかりさんは思ってたより商売上手のようだ。そのくらいだったらわけないですよ。最近うちの飲食店をご贔屓にしてくれてる、外科医のお医者様がいるんだ。金回りもいいようだから、その人にこの店のことを強く勧めておくよ。」
「お医者様、。そう、外科医の先生なんですね、。ありがとうございます。」
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