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どこか壊れている
第1章 存在意義
あかりの自宅は、心斎橋の職場から車を二十分ほど走らせたところにある梅田の高層マンションだ。JR大阪駅と天満駅の間にあるマンション三十階の自室からは、夜になると御堂筋が綺麗に見える。

このマンションも、自分が今腰掛けている革製の重厚なソファも、自分に貢いでくれる男たちの金で手にしたことを思って、少しは男たちにも感謝せねばなるまいと思って微笑する。

眼下には、子犬が飼い主にそうするように、仰向けになり腹を見せ、足をあげて男が呻いている。乳首を木製の道具で痛みつけられ、アナルではバイブが空虚な機械音をあげてくねくねと作動している。

三ヶ月で、複数の飲食店のオーナーである智はここまで落ちた。一分で射精して、あかりの前で威厳を失ったこの男。当初はまだ目の奥に鋭いものを取り戻すことがあったものの、今ではどうか。

ただただあかりから与えられる快感に身を任し、空虚な眼差しであかりの一挙手一投足に神経を使っている。

あかりは素足で男のペニスを圧迫した。

「ああ、ありがとうございます。」

あかりはつまらなそうに右足を上下に動かして男を喜ばせた。気持ちいいだの幸せですなど男は叫び続ける。

はじめは刺青まで入れ、これ見よがしに自分の強さを誇示している男の哀れな姿におかしさを覚え、もてあそぶことを楽しんでいたが、ここまで落ちてしまってはもうこれまでの男と同じだった。
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