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官能書道/筆おろし
第4章 新筆
「そうなんだ」

 ちら、と上目遣いで澄夫を見た。

「してみたい?」

「え……」

「こんな年上がはじめてじゃ、いやかな?」

「そ、そんなことありませんっ!
 先生は最高ですっ!」

 澄夫は叫ぶように言った。
 そのあとで、急に恥ずかしくなる。

「でも……」

「でも、なんなの?」

「先生、ぼくを気の毒がって……
 あんまり早く終わっちゃったものだから」

「気にしないの。最初はだれでもそうよ」

 涼子は立ったままの澄夫の手をつかんで、静かに引き寄せた。
 膝立ちになった若者の首に両手をまわす。

 眼と眼が、わずかな距離で向かい合った。
 涼子が顔を傾けて、唇を合わせてきた。

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