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女鑑~おんなかがみ~
第6章 布団
翌日、女将は今日は雑用をすればよいと言って、スエに風呂の掃除を命じた。
しかし、スエが風呂を掃除しているところに女将が来た。
「掃除はもういいよ。これから客を取ってもらうから、お前が風呂に入りなさい」
「いやです。孝秀坊ちゃまに叱られ……」
言い終わらないうちに女将はスエを突き飛ばした。
「本当です。必ず夫婦になろうと言われて、だから、早く帰らせてください。
孝秀さまが心配します。怒られます」
女将は掃除中の風呂に残っていた水をスエに掛けた。
「どうしてそこまで愚かなんだろうね。
もう少しちゃんとわかっているなら、せめて十日ほどは待ってやろうと思っていたんだよ。
初めてのときは誰だって怖いのは当然だから、無理はさせたくないんだ。
しかし、そんな夢物語を信じているとなれば話は別だ。
大きな問屋の跡取りのお坊ちゃんにそんな出まかせを言われて信じるような馬鹿がどこにいるんだい。
世間知らずの愚かな男ほど、思いつきでそういうことを言うんだよ。
それをいちいち信じていたら身が持たないよ」

スエは、以前に孝秀さまが夫婦になろうとおっしゃったときには、ほとんど信じていなかったのだ。あのときは夢物語だとわかっていたのだ。しかし、それを女将に真っ向から否定され、孝秀さまのことを世間知らず、出まかせ、愚かとけなされたことで、火がついてしまった。
「そんなお方ではありません。」と夢中で叫んだ。

女将は庭で作業をしていた下働きの男を呼び、二人でスエを納戸まで引きずっていき、柱に縛り付けた。
「そこで頭を冷やしておいで。言うことを聞けない間は飯も抜きだよ」

頭を冷やせといわれたが、閉じ込められたスエの頭のなかで、孝秀さまは唯一の神になった。
風紀などというものもほとんどない貧しい村で育ったスエは、大人の男女が何をするか早くから知っていたし、恐怖も嫌悪感も持ったことがなかった。
もともとは早く遊女になりたいと願っていたのだ。
けれど今は、孝秀さまに怒られること、軽蔑されることが何よりも怖かった。

ここで意地を張り通せば、孝秀さまは褒めてくれるだろうか。
孝秀さまの怒った顔や優しい顔がどんどん浮かんできた。苦しければ苦しいほど孝秀さまに喜んでもらえるような気がした。

いつかここに孝秀さまが助けに来てくれるはずだと想像を膨らませていれば、飲まず食わずで納屋にしても幸せだと思った。
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