この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
女鑑~おんなかがみ~
第6章 布団
まだ、スエが七つか八つの頃だった。
スエは父親に頼まれて、村の共同の納屋に鍬を返しに行った。家にあった鍬が壊れたので共同のものを借りていたのだ。
スエが納屋の扉を開けると、人が二人着物を腰までまくり上げて倒れていた。
死んでいるのかと思って「きゃあ」と声を上げると、上に倒れていたと思った男が起き上がり、
「こら、何しに来た、のぞきやがって、お前、正二とこの妹のスエでねえか。来るなよ、こんなところに」と怒鳴った。
「でも、おとうが、この鍬を返して来いって」
困っていると、さっきまで仰向けに倒れていた女の人が起き上がった。
「そりゃ、この子のほうが筋が通っているよ。ここは共同の農具をしまっておくところだものね。でも、できたらうちの亭主には言わないでおいてよ」

そこでスエは、この女の人が、ヨネさんという人で、最近遊郭で年季が明けたと言って十年ぶりくらいに村に帰ってきて、近所の源三さんの後添えになったという話を思い出した。
源三さんの前のお嫁さんは、この前に三人目の子供を産んだときに血が止まらなくなって死んでしまったのだ。村のなかではよくある話だった。
近所の女たちは「女郎上がり」などと悪口を言ったが、男たちは綺麗な人が後添えになったと言って、源三さんのことを羨ましがっていたものだった。
「おい、源三さんに見つかったらどうするんだよ。スエ、言わねえでくれよ」と男が慌てるのにヨネさんは
「平気だよ。うちの亭主もまさか、元は廓でいちばんの売れっ妓だった女郎を独り占めできるとは思っていないだろうから。ちゃんと毎日、亭主と、産んでもいない子ども三人のために飯炊きをしているんだからいいんだよ」とカラカラと笑った。
そして
「へんなところ見せちゃったね。ごめんね。大きくなればわかるからね。まあ、この鍬は私が返しといてあげるよ」
と言いながら鍬を預かって所定の場所に戻し、それからスエの顔をまじまじと見た。
「お前さんは、本当に器量よしだね。これは楽しみだね。
お前さんほどの器量よしは、私が前にいた廓にもなかなかいないよ」
意味が分からなかったが、褒められているらしいということは分かった。これまでにもスエは大人たちに器量を褒められることがあった。
/185ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ