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女鑑~おんなかがみ~
第6章 布団
倉持の大旦那が女将に見送られて去った後、千鳥と朱音はスエのもとに駆け寄った。
スエはほとんど放心状態で出血も多く、千鳥は、気遣いながら身体を洗ってやった。
「こんな生娘のことを、毒婦呼ばわりするような、あんな材木屋だっけ、つぶれてしまえばよい」
と朱音は言い、女将も「言葉だけはもう少し慎んだほうがよいね」と言いながら、否定はしなかった。

千鳥は、痛みに泣きじゃくるスエを慰めながら、同時に自分の数年前のことを思い出すと身体の奥のほうが熱くなるのを感じた。
千鳥自身も、初めてのときには恥ずかしさと恐怖と痛みで辛いばかりであったのに、数年を経た今はなぜか、そのときの記憶を蘇らせるたびに、また新しい妓が同じような目にあうのを見るたびに、無理やりに身体を開かされる姿にかつての自分を重ね、そして身体の奥がきゅんと疼いて湿り気を帯びる。
いつの日か、この娘にもそんな日がくるのだろうかと、ふと思った。

女将は、スエを夕顔と名付けることにした。
この廓の「むらさき屋」は女将が若い頃に芸妓で「むらさき」と名乗っていたことに由来している。
女将はふと、源氏物語の夕顔の、人懐こくて可愛げがあり、しかしどこか寂しげな雰囲気を思い出したのだ。千鳥も朱音もそして夕顔も、源氏物語などについては知らなかったが、女将はそのような教養が非常にあり、実は武家の娘だという噂があった。
千鳥がそのことを言うと、
「私のことをどんな大昔の人間だと思っているんだい。私が生まれたときにはすでに四民平等の世の中ですよ」
と返したが、少し引っかかるものがあった。

いずれにせよ、今後は、この廓に「スエ」という名の女がいること外に絶対に知られてはならず、それは倉持の大旦那と約束したことであった。

夕顔は、男女のことなどに大らかな村で育ったせいか、処女を失った、ということに対しての感傷はあまりなく、痛みと出血が収まると少しずつ屈託のなさを取り戻した。
女将は、さすがに水揚げでひどい目に合わせたことへの負い目もあって、あと数日はゆっくり休めばよいと言ったが、意外にも本人が、次の客を取りたいと申し出た。
「好きだった人の、お父上にって考えると、何か切なくて。
もう少したくさんの方のお相手をしたら、そういうことを思わなくて済むようになるのじゃないかと思って……」
夕顔のあどけない口調に、女将は胸が痛くなった。
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