この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
女鑑~おんなかがみ~
第2章 妹分
「お前さん、本当にいいんだね。好いた男と一緒になるとか、そういうことが、もうできなくなるんだよ」
夕顔の脳裏に、遠くて悲しい別れが蘇る。学生服を着た美しい若者の姿が浮かぶ。四年前の正月に最後に会ったきりだ。
ちょうど、今の操子と同じ十六のころの悲しみ。

「はい。同じことです。」
今度は、少し間をおいて返事が返ってきた。
「同じって、いったい」

「家のために父が決めたところに、どこにでも嫁ぐつもりでした。父の商売に役立つようなところに嫁げればと。
しかし、兄が行方不明になり、父の商売も難しくなり、私の嫁入りのお話もどうやら先方様が断ってこられたようです。そんななかで、私の身売りで、当面の借金を返せるというお話を、父の知り合いの方が下さったようですので、お受けいたしました。」
十六でこのような受け答えができるのかと驚く。
本当にあのお嬢ちゃまなのだろうか。八年前に会ったときは、八つにしても幼すぎた少女。

「そうかい。それなら覚悟もできているんだね。女将さんから話があると思うけど、たぶん、来月の頭くらいからお客をとってもらうことになると思うよ。」
「はい、よろしくお願いいたします」
「生娘だということだから、最初は何かと辛いだろうけどね。」
「はい。辛抱いたします」

「本当に辛抱強い娘だね。初めてのときくらいは、好いた男と結ばれたかったろうに。可哀そうに」
思わず不憫に思って声をかけた夕顔に、操子はこう言い放った。
「好いた男などというふしだらなものはございません。家のために辛抱いたします」
「ふしだら」
夕顔は思わず絶句した。
/185ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ