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Sugar Box
第5章 黄色い水仙を抱き締めて * 前 *
「玲くん・・・」
「氷さん、沖兎さん・・・僕は、大丈夫です。今日は・・・帰ります。」
記憶のない彼とずっとは、居られない。心の準備をしなくては、彼が帰って来るのなら・・・。
「玲くんなにかあったらいつでも連絡してね。」
「はい、氷さん。ありがとう、ございます。じゃあ。」
頭を下げて病院を出た。
「沖兎さん・・・玲くんは、大丈夫でしょうか。」
「俺たちが気にかけてやろうな、氷。」
「そう、ですね・・・」
》 》
彼が退院を許可されたのは、入院してから1週間経ってからだった。
怪我の治りは、良好で家族も記憶を取り戻すのに元の生活に近いところを希望してくれてアパートに帰って来る。
なんの感情も持ち合わせていない彼との生活は、苦しい。しかし部屋は、きっちり別けた。怪しまれそうなモノも片付けた。