この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
Sugar Box
第5章 黄色い水仙を抱き締めて * 前 *
「君は・・・・・・“誰だ”?」
「あなたの後輩で一緒に暮らしている月瀬 玲と言います。」
昔にした自己紹介を思い出した。あの頃は、彼が苦手だった。
「へぇー、俺って“男と暮らしてる”のか。」
「言い方。」
「あ、あぁ。」
「嫌がれても知りません。黒峰さんがルームシェアに誘ったんですから。」
平然と会話出来ている自分に内心驚きながら言葉を返す。
「俺から?」
「そうですよ。僕、結構あなたに可愛がられてたので。」
「へぇーそうなんだ。」
「(あぁ、笑ってる。“大丈夫”、かも・・・知れない。
僕は、変わらずあなたが好きだ。)」
彼の屈託のない笑顔がなぜか胸に燻るモノを消してくれる。
「退院したら、帰って来て下さい。待っていますから。」
「あぁ、そうさせてもらう。」
彼の答えに安堵したのは、言うまでもない。