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Sugar Box
第6章 黄色い水仙を抱き締めて * 中 *
起きるまで待っていてもよかったが話しを顔見て出来そうになかった。手紙は、当たり障りのないように書いたつもりだ。
〝記憶喪失〟・・・甘く見ていた。
なんとかなる。すぐに記憶が戻って笑い話しになるものだと・・・思っていたのに。
半月が過ぎ、1ヶ月を過ぎても彼の中には、めぼしい記憶は、なにひとつ蘇らない。それどころか天性のイケメン気質で遊び歩くようになった。
さすがにそこまで寛容には、なれない。関係を忘れられた上に女の香水を纏って帰って来るような男と同じ空間で生活など出来ない。
精神衛生によくない。
僕の気持ちは、ぶれることがないのだから・・・なんとも思わない奔放な振る舞いをする彼と一緒には、居られない。
僕がなりたいのは、〝友人〟でも〝先輩後輩〟でも〝同居人〟でもない。彼の〝恋人〟・・・改めて思い知った。
こんなにも彼が好きなんだと。