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Sugar Box
第6章  黄色い水仙を抱き締めて  * 中 *
  


 だから距離を置くしかない。いつ戻るとも判らない微かな希望を頼りに生きては、いけない。
 人に期待しないクセが仇になっている。


「はい、月瀬です。」


「玲くん、おはよう。いま、家?」


「おはようございます、氷さん。いいえ、出て来ました。」


「そう。早くおいで。」


「はい・・・今から行きます。」


 新しい住処などすぐに見つかるハズもなくしばらくは、氷さんたちの家にお世話になる。


 駅を2つ、そこからすぐのマンション。沖兎さんは、プロのスポーツ選手だから稼ぎがいい。


「いらっしゃい、玲くん。」


「お邪魔します。」


 広くて綺麗な玄関。氷さんは、綺麗好きだからいつも清潔。


「沖兎さん、玲くんが来ましたよ。」


「おっ、来たな月瀬。」


「しばらくお世話になります。すぐにアパートを見付けるので。」


  
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