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Sugar Box
第6章  黄色い水仙を抱き締めて  * 中 *
  


 顔を背けて震えている。


「俺たち。〝付き合ってた〟のか?」


「っ!!?」


「そう、なんだな?」


「・・・っ、違ッ」


 真っ青になって震えて目が泳いでいる。もう1度抱けば、全てが判る気がした。我ながら最低だ。


「来いっ。」


「えっ、黒峰さ・・・んっ!!」


 腕を掴み通りに出てタクシーを捕まえると放り込んだ。


「ちょっと、黒峰さんっ。」


「俺さぁ~いまめちゃくちゃ、怒ってるから大人しくしとけ。」


 怖がらせるつもりじゃなく逃がさないための保険だった。記憶を取り戻すキーパーソンは、ずっと月瀬だったのだ。今さらながらに気が付いた。逃がしてたまるか。


「(どいうしよう、どうしよう・・・)」


「ほら、着いたぞ。降りろ。」


 腕を掴んで今度は、引き摺り降ろした。


「待って、黒峰さんっ。本当に無理・・・」


  
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