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Sugar Box
第7章  黄色い水仙を抱き締めて  * 後 *
  


 服をテキトーに着て部屋を出た。夜明けの空を見つめて虚しくて、悔しくて涙がこぼれた。


「っ・・・くしょう。チクショウ・・・・・・ッ」


 苛立ちは、消えることなく降り積もり行き場を失っていた。
 アパートを出てコンビニへ寄って遠回りをして帰ることにした。

 何度通っても見覚えがない。部屋も他人の部屋のようで居心地が悪い。


「俺、誰なんだよ・・・・・・」


 毎日は、それなりに過ぎていく。しかし記憶は、戻らない。
 キーパーソンだと思い込んでいた奴にも見放された。


「はあー・・・、疲れたな。」


 ただ、この日々に疲れる。


 》 *


「玲くんっ!!」


「・・・氷、さん。」


 身を寄せている先輩の家に帰ると抱き締められた。


「無断外泊して、すみません。」


「帰って来てくれて、良かった。」


  
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