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Sugar Box
第11章 愛を知らないヒメ初め* 上 *
夏だから、〝白昼夢〟でも見ているのかと思った。それか上級生特有の嫌がらせか、罰ゲームの類いか・・・と。
「あの、さ。訊いてる?」
「ええ、訊こえてますよ。」
蝉の声が遠い。
「急にごめん。でも、合宿終わったらまた逢えないし。せめて気持ちだけ知ってて欲しくてさ。」
「はあ・・・」
照れながら。あの男女問わず人気者でそう言う相手には、事欠かないであろう人が照れくさそうに言葉を発している。
「嫌じゃ、なかったらさ・・・アドレス、交換してくんない?」
「いい、ですよ・・・。」
その照れた姿につい返事をしていた。
「よっし。」
「そんなに、嬉しいですか?」
人を好きになんてなったことがないから彼の喜びようが不可思議でならない。たかだかアドレスを教えるくらいがなんのだろうか。
「嬉しいに決まってんだろう。」