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Sugar Box
第2章 チラリズム・シンドローム【前】
「はぁーい。じゃあ、月瀬くんには、接客係をお願いしますっ。」
「ちょっと待て。」
「はい、拍手~」
クラスの全員から指名の拍手が送られ断れない圧力を掛けられた。不特定多数の前で女装を晒すなど真っ平だ。
こんな半強制的にクラスの〝男装・女装喫茶〟の接客係にさせられた。なんとしてでも彼にだけは、知られずに学祭を終えなければならなくなった。
》 1週間前 》
衣装合わせと毎日放課後に接客の練習を強いられて精神的に参っていた。そんなときに信頼する先輩にご飯に誘われた。
「玲くん、こっちだよ。」
「氷〈ヒョウ〉さん。お待たせしました。」
「いいよ。ほら、おいで。」
ファミレスで一際人目を引く中性的な容姿と明るい栗色の髪が綺麗だ。お店の店員やお客さんが先輩を見ている。そんな注目を集める人に呼ばれているのが自分だけだと思うと細やかな優越感だった。