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Sugar Box
第16章 今夜も黒バラを君に。 *前*
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あれは、もう・・・3年も前のこと。両親の墓参りに行ってとある男と知り合った。
男は、いまにも崖から身を投げそうだった。両親の思い出の場所で死なれては、堪らないから助けてやった。そうだ。親切心なんか出さなければよかった。
男を間近で感じて〝番〟だと、気が付いた。
逃げるには、遅すぎた。人生初めてのヒート・・・アレは、想像以上にキツい。
抑制剤なんか〝運命〟の前では、なんの意味もなさなかった。
俺は、〝本能〟に負けたんだ。この世で最も軽蔑するモノに・・・・・・。
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「おはようございます、黒峰さん。」
「おはよう、玲。」
「??」
馴れ馴れしいにも程がある。
「名前で呼んだら、ダメか?」
「いいえ。お好きにどうぞ。」
そんなモノで僕が靡くか。医学の進歩を馬鹿にしてくれるなよ。