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Sugar Box
第16章  今夜も黒バラを君に。 *前*
  


 俺は、行方をくらませた。そうして3日間の記憶と一緒に焦燥感もなくなっていた。
 どこに行ってどうやって帰ったのか全く覚えていない。ただ甘い香りを嗅いだ記憶が時折燻る。

 俺は、知らないうちに事務所の前で倒れていた・・・らしい。どうやって辿り着いたのかを俺は、記憶していない。
 でもそれからは、仕事が順調に出来るようになった。

 〝運命の番〟も探し始めた。心を埋め合えるのは、そんな存在だけだと理解した。どうしても探し当てたかった。

 そして出逢った。しかし頑なで己が〝オメガ〟だと、認めもしない。しかし逃がす気などない。


 《 《


「おーい、玲。」


「なんですか?」


「背中、流してくれよ~」


 彼と過ごして3週間目。俺は、大胆な行動で攻めてみることにした。


「いいですよ。でも・・・こう言うのは、家政夫の業務外ですから別途頂きますからね。」


  
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