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Sugar Box
第17章  今夜も黒バラを君に。 *後*
  


『逃げるなよ。』


『・・・やめて、下さい。』


 心臓が高鳴るのは、きっと戸惑っているから。けして〝心が揺れている〟訳ではない。
 そうだ。本能に負けるハズは、ない。自分は、〝ベータ〟だ。


『抱きたい。』


『あなたね。初対面の人間にそんなことを言うって・・・常識置いてきたんですか?』


『いいや、君は・・・俺の番だ。』


『はいはい。迷信を信じてるんですね。あなたは、気力体力共に疲弊しているからおかしなことを考えるんですよ。』


 抱き締める腕に力がこもっている。手も震えている。男は、本能に負けそうになっている。


『ダメですよ。ダメです。』


『君は・・・俺の番だ。』


『ちょっとっ!!』


 ベッドに押し倒された。


『っ、・・・』


『もう、判るだろう・・・っ』


 男の熱い瞳で見つめられて自分が1番嫌う〝本能〟に負けてしまう。


  
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