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Sugar Box
第17章 今夜も黒バラを君に。 *後*
「月瀬です。」
フロントの電話に出る。相手は、だいたい判っていた。
「おい、どーしてくれんだ。」
「挨拶もなしに・・・なんですか、沖兎さん。」
「黒が仕事にならないって休業だそうだ。」
「そうでしたか。それがどうして僕の所為なんでしょうね。」
「お前が、急に姿を消したからだ。」
「ちゃんと、休暇届けを出しましたよね?」
「俺にじゃない!黒にだ!」
「いちいち彼に言わなければいけないのですか?僕は、両親の命日を穏やかに過ごしたいだけですが・・・」
「お前な。いい加減にしろよ!」
「僕は、絶対に彼を受け入れません。番・・・・・・馬鹿馬鹿しい。」
「“馬鹿馬鹿しい”って、お前なぁ。」
「簡単に忘れられるなら、そんなモノ“紛い物”ですよ。」
冷たく答えられる自分にも“愛情”などないのだと理解している。