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Sugar Box
第17章  今夜も黒バラを君に。 *後*
  


 そんなことを言われても不安で不安で仕方がなかった。仕事にもずいぶんと穴を開けてしまった。
 仕事場で倒れたこともあった。気分が塞ぎ食欲が落ちて・・・不安は、募るばかりだった。
 2ヶ月後の検診に社長が付き添ってくれたのは、相当参っていると思われたからだろう。


『堕ろします。』


『月瀬さんっ』

『ちょっと待て、月瀬!早まるな。』


『産めなんて、言わないですよね?』


 〝産みたくなどない〟。慈悲もなにもあったものじゃない。こんな欠陥品に産んで育てる度量も器量も有りはしない。


『堕ろしてしまうのは、簡単です。でも・・・』


『イヤだっ、イヤだっ!!』


『月瀬っ!!おいっ!!』


 〝逃げなければ〟。それしか頭になかった。走って走って・・・意識を失った。そうして願ったのは、〝目が覚めたら全部なかったことになっていますように〟・・・・・・。


  
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