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Sugar Box
第4章  ムーン・トリック
  


 お店は、酒場だったのだから暖かくって当然だ。外は、息が白くなるほどに寒い。


「追いかけても来ないの・・・全く。なにが〝俺も帰る〟だ。」


 少し歩いて振り返ると中では、楽しそうにグラスを傾ける彼の姿があった。


「はあー・・・馬鹿みたい。」


 彼が誘ってくれるからこの酒の席に参加したのに・・・案の定2人でなんて夢の又夢だった。


「綺麗な満月だな・・・」


 歩きながら空を見上げると美しい満月が見えた。


「満月に願い事すると叶うんだっけ・・・?」


 昔どこかのおとぎ話しで訊いたか読んだかした話し・・・を思い出した。


「はあー・・・乃さんが、僕にだけ頼ればいいのに。」


 下らないけれどつい口を付いた。〝寂しい〟と素直にサラリと言えればいいのだけれど・・・性格がそれをさせない。出来ない。
 彼は、人気者だ。いつ離れてもおかしくない。


  
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