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愛里 ~義父と暮らす小学六年生~
第5章 教室での『はじめて』
 一時間ほど愛里は頑張った。おかげで随分と宿題が進んだようだった。

「疲れた?」
「うん」
「算数嫌いなんだ?」
「うん、苦手…」

 あはは、と声に出して笑いながらもドリルを捲って出来をチェックする。
 
「大丈夫、ちゃんと出来てるよ。これならお母さんも褒めてくれるよ」
「うん」

 机に向かっていた椅子をちょっと引き、疲れたように足を伸ばす愛里を横目に見ながら、カメラのメモリーカードを交換する。

 手元で静かに操作し録画モードに切り替え、愛里の座る机がよく映りそうな、ひとつ前の机にさり気ない動きでおく。あらかじめそこに自分のバッグを置いておいた。

 来る途中で買っておいたペットボトルのお茶を取り出し、愛里に手渡す。

「ありがと」

 すっかりぬるくなってしまっていたが、こくりと喉を鳴らして美味しそうに飲んでいる。

 ドリルを手に取るふりで、そっと背後に回り込んだ。

 ぽん、と肩に手を置く。怯えたように小さな肩が震えた。

「肩ほぐしてあげる。楽になるよ」
「う、うん…ありがと…」

 戸惑いながらも大人しくする愛里の肩を、力加減に気を付けて揉みほぐす。
 少し髪が伸びた。首を前に傾けると後ろ髪に隠されたうなじが見えた。

 細い首だ。この首と髪を振り乱して喘ぐ姿は、何とも可愛らしい。
 
 幸彦はパーカーの生地が中央に寄るように内側に力を少し加える。 
 愛里の体の真ん中に集まった生地は、ふわりと胸元を開かせる。

 胸の小さな谷間が見えた。

 膨らみ自体は小さいが形がいい。張りもある。それで小さいながらも谷間のようなものが出来ていた。

 ちら、と時計に目をやる。午後二時十五分を少し過ぎた頃。

 カメラの動画の撮影時間は三十分。教室の使用時間は午後三時まで。

 そろそろか。

「や…っ」

 愛里が小さく悲鳴を上げた。
 肩から滑り落ちた幸彦の手が、愛里の胸を覆うように揉み始めた。

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