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愛里 ~義父と暮らす小学六年生~
第2章 ゴールデンウィーク。旅行一日目
「いいところだね」
「うん、あ、見て露天風呂」

 コテージの裏には川に面した小さな庭と、こちらも小さいながらも露天風呂。

「気持ちよさそうだね」
「でも、ここでお風呂入ったら誰かに見られちゃわないかなぁ」

 少女らしく可愛らしい心配をする愛里に、幸彦は笑って部屋に置かれたパンフレットを差し出す。

「川は上流側も下流側も、柵が張ってあって立ち入り禁止になってるみたいだよ」
「ふぅん。お風呂を覗かれないように?」
「うん。あとそこは少し深くなってるみたいだね。川遊びには向かないみたい」
「そうなんだ」
「うん。愛里ちゃんも川で遊ぶんなら気を付けるんだよ」

 はぁい、と可愛らしく返事をして冷蔵庫から冷えたお茶を取り出す。五月とはいえ、ここ最近は暑い。小さな喉仏を上下させて美味しそうにお茶を飲む。

 コテージはリビングを兼ねた広いキッチンダイニングと、寝室がふたつ。キッチンの冷蔵庫にはお茶やビールが冷えていて、お菓子も置いてある。露天風呂とは別に内風呂もあり、小さいながらも立派な建物だった。事実、このコテージは他の四棟より値段も高い。

「静かで落ち着くところだね」

 幸彦はすっかり気に入ったようだ。ここまで車を運転して来た疲れも見せず、寝室や内風呂を見て回っている。
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