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姦譎の華
第16章 16
 にもかかわらず、踏みしろと十指の隙間に勃起を通し、ストッキングの滑りと抵抗の調和をうまく図りながら腰を前後させると、媚肉とはまた違った、点々で揉みほぐされる感覚がたまらなかった。

 擦り付けている最中、パンツスーツの膝は離れていた。
 人間の骨格の造り上、足裏を合わせれば膝が離れるのは道理だろう。

 しかしピストンに合わせ、滞ることなく屈伸していることまでは説明がつかなかった。肉鎚を突き出した対面では、足間を往き来する幹の動きに合わせ、十字のシームが悩ましくくねっている。顔面を飛び込ませてしゃぶり回しても、たとえ衣服を破り、秘門をこじ開けにかかっても、さしたる抵抗は為されそうにない、聖女らしからぬ油断ぶり。

 足コキだなんて無礼なプレイを頼む男は、この人の前に存在しなかったのではないだろうか。仮に願い出る者がいたとしても、満腔の嫌悪でもってピシャリと弾ねつけられてきたことは間違いない。

 生まれて初めてのプレイに、感じていた、のだ。
 神聖な美脚を性玩具として使われて、快感を覚えてしまった、のだ──

 島尾がドアを開けた向こうに、両手を吊られる囚われの聖女の姿が目に入った。項垂れていた顔が、わずかにこちらへ向けられる。

 稲田は竦んだ。

 何たる涜聖をしでかしているのかと戦慄したのではなかった。弱灯でも映える美貌が、憔悴の中にも恃むような秋波を放ってきていた。

「へっ……、へへ。待ちくたびれたろ」

 島尾もまた、見上げてきた女の視線に胸を射抜かれていた。

 早速、足元へしゃがむ。コートの内へと伸ばした手は胸元ではなくウエストをとらえていた。

 バストはもう、何度も味わった。いつでも揉めるし、いつでも挟ませてやることができる。
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