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姦譎の華
第17章 17
「……はい、あなたも」
「俺たちとしたいんですね?」
「それは、その……」
「ハッキリ言ってくださいよ。俺たちとエッチがしたいんですよね?」

 似非医者はもちろん、ピアスの子もサラリーマンたちも、呆然と自分を眺めていた。正気かという視線に曝されて言い淀んでいると、何もオーダーしていなかった稲田は大きな咳払いをし、携えていたお茶のペットボトルを捻った。

「あっ……!」
「……どうなんです?」
「ええ、そ、そう。あなたたちと、したいわ」
「あはっ、いいでしょう。じゃ、プレイルームへ行きましょうか」

 急いた口調で答えると、飲み口を咥えようとしたところで動きを止めた稲田は、飲まないまま収めて立ち上がる多英のために道を譲った。

「ね……、ねえねえ」
 男たちは腑甲斐なく、何とか声を発することができたのはピアスの子だけだった。「ミクもまざってもいい? どうせならさ、みんなでヤろうよ。ええと……、なな……、はち……8P? わかんない、9P?」

 破天荒な申し出に、この期に及んでまだワンチャンスに賭けようとする似非医者までもが腰を上げようとしたから、

「ごめんなさい、お断りします」

 俯いたまま固辞をする。
 陰湿な笑いを浮かべた稲田に腰をとらえられ、エスコートされ始めると、

「へっ、悪ぃな。じゃあ思いっきし楽しんでくるわ」

 そう言い残した島尾も追いつき、逆側から馴れ馴れしく肩を抱いた。

 一歩、一歩、フロアの奥へと進んだ。二人に支えられていなければ、とてもまともに歩けそうにはなかった。

「……んだよビッチが! 死ねっ!!」

 投げかけられるピアスの子の罵倒が、取り残された者たちの総意のように聞こえた。









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