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姦譎の華
第3章 3



 衝動に耐えていた光瑠は、

「……く、……あっ、ご、ごめっ……!」

 ついに力尽き、身を伏せて抱きついてきた。

 腰をランダムにわななかせ、切なげな呻きを聞かせてくる。いななく牡の頭が最奥を突き押した。

 肉蕊と花弁をはみ終わり、入れ替わりに間口を訪れた尖端の灼熱ぶりに触れた時、これはすぐに危なくなるな、と思った。予感した通り、いつになく性急だった恋人は、正面から繋がったそのままで果ててしまった。これまで何度も体を繋げてきたというのに、まだ出会った当初のような早さだった。

「ん……」

 だが何も責める気は起こらなかった。むしろ放出される振動が伝えられるたび、多英は媚肉でも彼を抱きしめた。

 光瑠が早くなってしまった心当たりは二つある。

 房総半島の先までドライブへ行った帰り、車内では二人とも寡黙だった。喧嘩をしたわけではない。何を話すにも面はゆくなってしまいそうで、お互いが相手の出方を伺うような、不思議な空気が漂っていた。

 原因は、茜に染まる海辺で光瑠がリングケースを開き、しばらく時間を置いたのち、小さな頷きとともに多英が薬指を差し出したからだった。

 夢みる乙女でもあるまいし、と自嘲しつつ、窓外を眺めて大人ぶった落ち着きを取り戻そうとしても、潤った胸の奥はずっと溶かされていた。どんなに「ベタ」なプロポーズであっても、やはり、素直に嬉しい。部屋へと戻り、平日よりも艶味を増させたメイクを落としたら、ひとりでに口端が上がってしまいそうだ。

 夜景を見ながら帰りたいと言ったのは多英だった。館山道を使わず、湾岸を進む幹線道路が選ばれたが、渋滞にはならずとも高級車の性能をフルに発揮できるほどには空いてはいなかった。家まで辿り着くにはまだ時間がかかりそうだ。光瑠は帰りに寄るつもりでいるだろう。

 しかし今日は、自分の家以外のところで抱かれたい。
 過ぎていく景色を眺めているうち、そう思われてきた。
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