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姦譎の華
第18章 18
歯を喰いしばり会陰を引き搾ると、盛餐をお預けにされている肉茎が勢いよく飛沫を散らした。凄烈な光景に目を瞠った多英だったが、すぐに睫毛を伏せ、ウエストを弛めてを長い脚から下衣を落とす。
「おっとぉ、ノーパンかよぉ」
下手糞な口笛を吹いたが、もちろん知っていた。
倉庫を去る前、稲田がTバックを徴収した現場に立ち会ったのだから。
島尾とは逆の対角線の隅であぐらをかいていた後輩は、さっそく打ち捨てられたパンツへと這い寄り、裏返して念入りに調べ始めた。股のあたりに鼻先を近づけ、麻薬でも吸ったがごとくに御満悦だ。奴がトランスしているあいだに、先を急がなければならない。
「腕を下ろして、ち、ちゃんと見せろ」
けれども、裸に剥いてやった美人秘書の肢体を検分しないで先に進むなんて、とてもできなかった。「あっ、あと、か、髪もほどけっ」
追って命じられた多英は眉を寄せたが、後ろでまとめているヘアクリップを外し、軽く頭を揺すった。
そしてゆっくりと、側身へ腕を下ろしていく。
言葉が出なかった。
物怖じせずせり出したバストは、淡い輪郭の突端までが怠りなく、ツンと重力を退けている。これだけの肉量を支えるには筋肉のほか肩幅も必要なはずだが、長身がそれを忘れさせ、稀有のまろやかさだけが観る者を魅了してくる。絵心があったならば、理想のバストというテーマを与えられて、こんな風に描きたいと考えるだろう。だがいかに写実を極めようが、何らかの要素は削ぎ落とさざるを得ない。たとえば肉茎を擦り付けたときの胸肌の滑らかさだとか、絶妙の圧で挟み込む弾力だとか、血肉を実感させる温もりだとかは、どうあっても紙面に落とし込むことはできないのだ。
とはいえもう、この女に関しては、そんな賛美すら短絡的だと自省するべきだった。
双つの円い境界が、下方へ続く肌の上に深い影を落としている。それだけ、膨らんでいるということは、それだけ、腹部が引き締まっているということだ。鍛えられた腹筋がうっすらと窺えるが、あくまでうっすらと、表面には程よい熟肉が施されている。
「おっとぉ、ノーパンかよぉ」
下手糞な口笛を吹いたが、もちろん知っていた。
倉庫を去る前、稲田がTバックを徴収した現場に立ち会ったのだから。
島尾とは逆の対角線の隅であぐらをかいていた後輩は、さっそく打ち捨てられたパンツへと這い寄り、裏返して念入りに調べ始めた。股のあたりに鼻先を近づけ、麻薬でも吸ったがごとくに御満悦だ。奴がトランスしているあいだに、先を急がなければならない。
「腕を下ろして、ち、ちゃんと見せろ」
けれども、裸に剥いてやった美人秘書の肢体を検分しないで先に進むなんて、とてもできなかった。「あっ、あと、か、髪もほどけっ」
追って命じられた多英は眉を寄せたが、後ろでまとめているヘアクリップを外し、軽く頭を揺すった。
そしてゆっくりと、側身へ腕を下ろしていく。
言葉が出なかった。
物怖じせずせり出したバストは、淡い輪郭の突端までが怠りなく、ツンと重力を退けている。これだけの肉量を支えるには筋肉のほか肩幅も必要なはずだが、長身がそれを忘れさせ、稀有のまろやかさだけが観る者を魅了してくる。絵心があったならば、理想のバストというテーマを与えられて、こんな風に描きたいと考えるだろう。だがいかに写実を極めようが、何らかの要素は削ぎ落とさざるを得ない。たとえば肉茎を擦り付けたときの胸肌の滑らかさだとか、絶妙の圧で挟み込む弾力だとか、血肉を実感させる温もりだとかは、どうあっても紙面に落とし込むことはできないのだ。
とはいえもう、この女に関しては、そんな賛美すら短絡的だと自省するべきだった。
双つの円い境界が、下方へ続く肌の上に深い影を落としている。それだけ、膨らんでいるということは、それだけ、腹部が引き締まっているということだ。鍛えられた腹筋がうっすらと窺えるが、あくまでうっすらと、表面には程よい熟肉が施されている。