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姦譎の華
第18章 18
「大ですか? 小ですか?」

 その時も同じく、バストを揉みながら耳元で尋ねた。

「ち……、ちいさい、ほう……よ」

 即座に答えたということは、よほど切羽詰まっているという証拠だった。

「わかりました。先に済ませましょう。我慢してちゃ集中できないでしょうからね」
「おい、稲ちゃんっ……」

 挿入の構えのまま不平を漏らす島尾を無視して立ち上がると、見上げる多英の眸色にいくばくの安堵が浮かんだ。しかし稲田は、腕を吊り上げるテープには手をかけず、部屋に入ったところに置いていたカバンを開け、飲みかけのペットボトルを取り出した。多英のそばに戻り、目の前でお茶の残りを飲み干していく。

「……ま、まさか……」

 それだけで、聡明な秘書は意図がわかったようだった。

「五百ミリで足りますかね? まあ、やってみましょう。溢れたら仕方がないです」
「いやよっ、……ほ、ほどいて……、ほどきなさいっ!」
「そんな時間はありませんよ。それに声が大きいです。誰か来たらどうするんですか」

 ようやく意図を飲み込んだ島尾が、立ち上がって脇へとよけた。巨体が去ったことで冷気が脚の間に流れ込んだのか、多英はムキ出しの下肢をしっかりと閉じ、強張った貌を隠すように面伏せた。

「出そうになったら言ってくださいね」
「だ、誰がそんなこ……、うぁっ……!」

 待つようなことを言っておきながら、稲田は指で下腹を軽く圧してみた。中身いっぱいに聖水が詰まっているわけでもなかろうが、弾ね返す身肌の張りは、歓喜の瞬間がそう遠くはないと教えてくれているように思えた。

「や、やめて……」
「ほら、脚を開かないとビショビショになっちゃいますよ。まあ、そうなったら、俺がキレイにお舐めして差し上げますが」
「いや……、っ……おさ、ないで……」

 ここまできたら、何があっても許すつもりはない。そのことにも、聡明な秘書は気づいているようだった。だからこれ以上、脚をこじ開けたり、下腹へ圧をかける必要はない。

 美しい人が決心をつける瞬間を、見届けるのみだ──

 しばしのあいだ、倉庫には荒い吐息だけが籠もった。
 やがて前触れなく、美脚が開かれ始める。

「もっと大胆に開かないと、コイツが入らないです」
「く……」
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