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姦譎の華
第20章 20
 なるべく分厚くて問題数が多そうなもの、ただし値段をページ数で割った単価が最も安かったものを手に取ってレジへ向かった。オッサンからもらった額の半分にも届かない。

 参考書を買いたい、と言ったら、ブラを買う、生理用品を買うと言ったときよりも、オッサンは財布を開くまでに時間を要した。

 この時分の子が「参考書を買う」という理由で金をせびるときは、「友達の家に泊まる」と言う時と同じくらい、何か良からぬコトを企んでいる、そんな懸念が頭に浮かんだのだろう。下衆な勘ぐりを受けてまことに遺憾の意を表すると、オッサンは素直に謝罪し、「中学生になったんだから服とかも見てきたらどうだ」と、一万円札を追加したのだった。

 だからお釣りを文房具にあてたとしても文句は言われない。服を買わなかった分は貯金だ。

 金を貯めたがるのはもはや癖で、東京へ来てからというもの暮らしむきは「普通」以上になっていた。

 もちろん、パトロンの存在によるものだ。

 オッサンとて、女郎部屋を提供したつもりはなかったろうから、母も夜な夜な男を連れこむようなことはなくなった。

 これには参った。生活サイクルが同じになると、顔を合わせる機会が多くなる。

 特に夕食。ほとんどの場合、自分のほうが帰りが早い。母の分まで用意してやる気は毛頭なかったが、厄介なことに、たまにオッサンがやってくる日があるのだった。しかも曜日を固定してくれれば助かるのに、全くのランダム。我が家になくてはならない御大尽に何も振る舞わないというわけにもいかず、人数を限定しない献立を優先するなど、色々と気を回さなければならなかった。

 来れるときには来る。来れないときもある。もうすぐ二年、オッサンは泊まることはあっても、一緒に暮らすということはなかった。愛人なんかじゃないよ。初めて会った時そう言われたが、どう見たって、今の母は愛人だった。本妻との協議が思わしくなく、ズルズルと長引いているのだろうか。もしかしたら、とんでもない慰謝料を請求されているのかもしれない。

(高校に行くお金も出してくれるかなぁ……)

 成績はかなりいいほうだ。高難度の高校に行けたなら、高難度の大学も目指したくなる。
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