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姦譎の華
第20章 20
 しかし男の目が、道路でとは打って変わってずいぶんと血走っていた。五階に着いてしばらく経つのに、まだ息が荒い。改めて周囲の状況を確認すると、屋上への階段は鉄柵で塞がれており、降りる側にはコイツが立ち塞がっている。狭い踊り場だから距離も近く、スキニーなチノパンの前が不自然に盛り上がっていることには、馬鹿でも気づくことができた。

「なんか……、ちょっとおかしくないですか?」
「お、おかしい? お、おかしく、ないよ。チャットでも言ってたじゃん。モデルさんになりたいんでしょ?」

 それは自分が言ったのではないし、

「別になりたくないよ。ていうかオジサン、スカウトの人じゃないでしょ?」
「い、いや、名刺渡したじゃん」
「社員証、見せてもらえますか」
「いや大丈夫……、大丈夫、だから。ね? マユだってさ、こういうことしてスターになったんだ。モデルになった子、みんながしてることなんだよ」

 マユなんて子は知らないし、みんながしてるわけないし、みんながしてるから自分もするという話でもない。

 ホイホイと追いてきてしまって悔しい限りではあったが、危険が明らかになっても、意外と冷静だった。

 男の脇をすり抜けて駆け出せば逃げ切れるだろうか。いや、歩幅の小さな階段だから、すぐに追いつかれてしまいそうだ。少なくとも、最後に行く手を阻んでいるビールケースでアウト。ちょうどそこには、女の子一人を押し倒すにうってつけの空間があった。

 打つ手を考えているうちに、男がジッパーに手をかけた。そうだ、思い切り急所を蹴飛ばしてやれば、悶絶する間に逃げることができる。ただし一発で仕留めないと、以降は警戒されるし、逆上されかねない。一撃必中だ。

「大丈夫……、ほんと、だいじょうぶ、なんだよ。お、男の人のオ、オチ×チン、見てみたいって言ってたじゃん」

 スニーカーの中で足の指を丸めて準備をしていると、男がとんでもないことを言い出した。

「そんなこと言ってないし」
「いや、たしかに言ったよっ。ほんと、みっ、見せる……見るだけ、なんだから。エッチなことしちゃったら、俺、イ、インコーで捕まっちゃうもん。18歳未満は合意があってもダメなんだ」

 合意があってもダメなものはダメ。不勉強ながら知らなかった──ので、返す言葉が遅れてしまうと、
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