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姦譎の華
第3章 3
 施設にいる母との関係が良いものではなかったことは、光瑠に話してある。だから彼自身は母親という存在にどんな感謝や敬意を抱いているとしても、不孝な物言いについて強くは非難してこなかった。腕枕の先にあった手が折り返され、優しく髪を梳く。好悪は真逆となるが、多英にとっても同じ思いだ。光瑠の家は光瑠の家、自分の家は自分の家、そのうえで、これから新しく「二人の家庭」を作り出していこう、そう思えたし、そう思わせてくれる指遣いだった。

 一度ゆっくりと瞬きをした多英は、下腹の上で組んでいた手を崩し、胸乳を慈しんでいる逞しい腕へと触れた。

「ね……、光瑠くん」
「うん?」
「もう一回、できそう?」

 ためらいなく頷いた光瑠が、

「今度はきちんと多英さんも……」
「私も? きちんと?」
「喜ばせるから」

 あまりに真摯な物言いをしたものだから、間近でふき出してしまった。家のことを思い出させてしまって悪いことをしたと気に病んでいたのだろう、つられた息笑いを終えた唇が、首筋から肩口へと這ってくる。このまま体じゅうへキスを仕掛けてくるつもりのようだ。ふんだんに。媚肉が密かに震える。

 しかし同時に、鮮烈だった先ほどのセックスも顧みられた。
 喜ばせるから?
 終わった時、不完全燃焼への不満よりも、睦み合うことでもたらされる愉楽とはまた別趣の、妖しげな幽冥へと導かれそうな心疚しさのほうがはるかに強かった。

 もし、あそこで光瑠が果ててしまわなかったら──

 不吉な衝迫に、多英は胸乳をすくい上げている手を抑えた。

「んっ……、光瑠くん、ちょっと強いかな」
「あ、ごめん」

 一度目の余勢で力が入ってしまったと思ったのだろう、謝るように握りが弱められる。

「女にはやさしくしなきゃね。特に、奥さんにはね」
「もちろんだよ」

 しかし実際は、普段の圧とさして変わらないものだった。
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