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姦譎の華
第23章 23
23


 絶頂の昂揚が、下り坂へと差し掛かりそうになっていた。

 もう一度、膝の間を覗く。逆さになった貧相な足とは距離がある。少し奥には汚らしい臑毛を帯びた太足も見えた。しどけなく蜜を垂らした花央と対峙していながら、彼らは一向に動こうとはしない。

 せっかく、一匹の牝へと成り下がる覚悟を決めたというのに──

「華村さん」

 二人とも、背後にいた。
 ならば、さっき正面に感じた気配は何だったのか。

 多英が矛盾に気付く前に、忘形の牝から引き戻す、『美人すぎる秘書』として呼ばれる俗世の名が聞こえてきた。

 女の声だ。顔を上げると、たしかに女の姿かたちをしている。

「あ……」

 しかし目の前にいた人物の正体が知れても、多英は胡乱とした顔つきで見上げたままだった。声の主の肩が跳ね、羽織っているライダースジャケットの袖がフラフラと揺れる。振れ幅が、どんどんと大きくなっていく。

「ご……」
 とうとう辛抱しきれなくなり、「ごめんなさぁいっ……も、もう……ドン引きすぎちゃって、……な、なんて、声かけたらいいか、わからないですぅ」

 愛紗実は幾度となく息を詰まらせながら、身をくの字に捩った。服の印象が普段とまるで違うから、別人なのではないか。夢、幻だと思いたい希望を、能天気な笑いが粉砕していく。

「……あっ」

 ようやく醒悟して身を起こすと、カーペットの毛先がヒップに棘立った。慌ててスカートを巻き込み直すが、上躯でもバストが頂点まで丸出し、外されていたブラはそのままに、急ぎニットを引き下ろす。

 いよいよ愛紗実は引き笑いとなって、目尻を指先で拭った。

「ち、ちがうの……。ちがうのよ、藤枝さん」
「っふ、ち、ちがうって、なっ、なにが……ち、ちがうん、ですか? んっ、くくく……」
「それは……」

 何か言わなければと口を開いたが、敢えてそう問い返されると、次の言葉が出てこなかった。ひとしきり笑い続けた愛紗実は、あーあ、と大袈裟な深呼吸を挟み、

「……まあいいんじゃないですか? 華村さんほどの人だって、ストレス発散は必要でしょうし。でも相手は選んだ方がいいと思いますよぉ。いくらなんでもこんなヤツらと、だなんて、室長があまりにもかわいそう」

 グロスの照る唇を引き締めても、まだ、小鼻をふくらませている。
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