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姦譎の華
第24章 24
 その手前では、稲田が足裏を舐め回していた。こちらも語意不明の呻きを上げ、地を踏む面にまんべんなく舌を這わせている。こいつに関してはもはや口がいくつだという話ではなく、分身の術でも使えなければ左右離れた足を同時に味わうことはできないから、その悔しさを晴らすかのように、頬肉が伸びる横いっぱいに大口を開け、五指の全てを口内に含もうとしていた。

 どちらも、女の悦びというものを、まるでわかっていない貪りようだ。

「うんっ……やんっ……。……あぁっ……」

 しかし、わかっていなかったのは、自分のほうなのかもしれなかった。

 放置されていた時よりも、漏れ来る声は明らかに大きく、鼻にかかっていた。下腹から突き出た縄棒が、鈴でもつけてやりたいほど烈しく、艶めかしく振れている。

「華村さん、すっごいですね、こんなヤツらにされて。何なんですか、その感じかた」

 ベッドサイドまで近づき、悶える女を見下ろした。美しく反った睫毛のあいだから、涙膜ゆらめく瞳が見上げてくる。

「もう……、もっ、もう、……やめて……」
「なら反省します?」
「な、なんで……」

 答えを聞いた愛紗実は、胸乳にしがみついている島尾の脳天をしたたかに叩き、

「いつまでオッパイばっか吸ってんのっ、赤ちゃんかっ!」
 やってから後悔した脂をベッドシーツで拭き取りつつ、気の利かない中年を睨みつけた。意思を汲み取れず、二重顎から涎を垂らしてポカンとなっている男に向け、「ほら、ソレだよソレ」

 無惨に割られた秘裂のそばで、包皮が捲れて顔を覗かせている雛先を指し示す。ぷっくりと膨らんでいる肉粒を見て目を輝かせた島尾が、上下逆に跨がり直し、背を丸めて異物の根元へと顔を埋めていった。

「ウエッ、汚ったねえもん見せんなよ」

 でっぷりとした尻肉からムダ毛だらけの皺口が覗き、思い切り蹴り飛ばしてやりたくなったが、

「ん、ああっ!!」

 ひときわ大きな声を上げる多英の視界には、一層悍ましい景色が広がっていることだろう。そこに免じて見逃してやることにすると、

「し、島尾さんだけ、ズルいですよぉ……。わ、私にもヤラせてください」
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