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姦譎の華
第25章 25
「し、してるうちに濡れてくるよ」
「それまでは痛いですし、痛いと濡れないと思います」

 彼はポケットから出したコンドームをいそいそと装着しながら、

「痛くないようにするよ。な、いいだろ? 華村のことが可愛くて……華村が可愛すぎて、もう我慢できないんだ」

 雑誌には、とにかく褒め続ければ挿れさせてもらえますよ、とも書かれているのだろうか。そんなわけはない。乾いたところに挿入されたら絶対痛いし、痛くないようにするなんて不可能だし、そこへきて膜が破れようものなら、輪をかけた激痛に苛まれることは疑いようがなかった。

 目の前のことに集中せずに強く拒まずにきたら、乙女のピンチとやらに陥ってしまっていた。精液溜まりがペロリと触れてくる。さすがにマズい。ひっぱたいたり足をバタつかせたりしても、ヤル気満々の彼が力に訴えてきたら、とても太刀打ちはできない。何とかして、彼のほうから諦めさせなければならなかった。

 そこで閃いた。

 思い切り恥ずかしい思いをさせ、ムラつきを屈辱が上回れば、自分から片付けてくれるかもしれない。男は女に股間を貶されたら、プライドがずたずたにされるらしい。まして高校生ならば、トラウマとなってしまう可能性もあったが、こうなったらやむをえなかった。

「なんか、先輩のソレ──」

 幸い、彼は自分の股間に対する自信を失わずに済んだ。しかしトラウマレベルの出来事にはなったろう。

「あ……」

 突然、ドアが開いた。

 オッサンがずかずかと部屋に入ってきて、自分たちを見下ろした。彼に集中していたわけではないのに、物音は聞こえなかった。玄関に見知らぬ靴を見つけ、ドアの前で気配を忍ばせていたのだろう。

「誰だ、君は」
「え……、あ、えっと……」

 もっとゆっくりと萎むものだと思っていたのに、肉棒はたちまちシュンとして、垂れ下がるシャツの裾の中へと隠れた。しかし彼自身は身の隠し処は無く、猫背になってこちらを見やってきている。

「……パパ」
「え? い、いや、だってさ……」
「たぶん、もうすぐパパになる……んだと思います」

 母子家庭であることを知っていた彼だったが、すぐに事態を呑み込むことができなかった。学校の勉強ができるからといって、これしき察することができないでは先が知れているな、と呆れていたら、
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