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姦譎の華
第27章 27
「……そーそー、ただでさえデカいんだからさ、そうやってコンパクトにならなきゃ邪魔でしょ?」

 呻きを忍んで一途に丸くなっていると、愛紗実の声が突如として柔和になった。

(んっ……)

 多英は歯を食いしばった。

 愛紗実の激情には波がある。殺意と疑うような暴虐を奮ったかと思ったら、今のように落ち着くタイミングが来る。彼女とて、ずっとテンションをトップレベルに維持しておくには多くのエネルギーを要するらしく、どこかで必ず、半ば自衛的に溜飲を下げるのだ。

 しかし、その瞬間最も、身が甘くトロけそうになる。

 掻き乱されていた胸臆がじんわりと癒されていく。理不尽な扱いを受けながらけなげに耐えていたのは、間違いではなかったのだ、これでよかったのだ──心奥に染み入る安堵に和まされる。そんな情動はまやかしだと匡したくともままならない愉悦が、どんな矜持も尊厳も、この上もなく懐柔してくるのだ。

「今日はまず、淫乱秘書にふさわしいお仕事があるの。嬉しい?」
「は、はい……」

 髪からパンプスが降ろされると、

「……おいブタ。下、脱げ」
「え……」
「下脱いで、きったないの放り出せっての。それともやめとく?」
「い、いいやっ……いえ、はいっ」

 島尾はわけのわからない返事をし、大慌てでスラックスを脱いだ。トランクスに手をやり、愛紗実が何も言わないことを確認すると、ブルッと贅肉を震わせて足首までズリ下とす。

「うわぁ……さすがにヤッバい。もう何日めだっけ、ソレ」

 愛紗実がせせら嗤った肉茎は、初日に暴発してしまったペナルティとして金属製のケージに囲われていた。毎夜姦宴が繰り広げられる中、撮影を始めとした雑務を申しつけられていながら、一度として外されてはいなかった。

「普通の人間じゃとても触れないね。ババアが外してやって」

 用具の管理を申し付けられている稲田が小さな鍵を手渡してくる。愛紗実の言った「仕事」とは、このことらしい。

「は、はやくしてくれっ……」
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