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姦譎の華
第27章 27
 稲田が固まった。

「もう……我慢できなくて」

 内ももを引き締めて牝央を押し出し、外気に触れた花の一点に意識を集中させると、じわじわと下腹が滲みてくる。稲田は大事な下着を放り投げ、綻ばんとする花をかぶりつきで覗き込んできた。

「あの……」
「な、ない……、ペッ、ペットボトルは、ないんだっ……」
「よろしいのですか?」
「あ、ああ……いいっ。こっ、このままでいいっ」

 両手に花弁をくつろげられる。後ろ手を支え直して目を瞑り、照明を瞼の裏に射して網膜に滲ませると、

(ン……)

 ジュルッ……わずかに緩んだ堰から漏れた雫が、すぐに吸い取られていった。

「ねぇ……、ちょっとマジで?」

 愛紗実の呻吟が聞こえてきて、多英は完全に下肢を脱力させた。

 瀉下が飛幅を伸ばし、撚じれた奔流となっていく。特別尿意があったわけではないのに、湧水は望外の勢いで噴き出した。稲田は大口を開けて喉仏をひっきりなしに動かしていたが、とても間に合わなくなり、跪座となって放物線の変曲点まで顔を離し、それでも顎から落ちる雫を椀にした手で掬った。目に入る飛沫に瞼を細めながらも、懸命に噴水の行方を追っている。

「オァ……、アガッ、……ンハッ!」

 しかしやにわに、濯がれる口周りにしぶきを散らせた。肉槌の先からひとりでに撃ち上がった白弾は、貧相な胸板にまで届いていた。赤錆色をした蛇が首根を捕獲され、最期の抵抗としてありったけの毒液を吐射しているかのようだ。

「はあ……、そんな……、そ、そんなぁ……」

 湧水も射精も収まると、稲田は椀の中身を飲み干そうとしたが、大半は指間から漏れ落ちてしまったらしく、あまりの液量の少なさを嘆いた。諦めきれずに濡れびたしのローテーブルへと這いつくばり、天板を舐めとり始める。水溜りの至るところに浮き漂っている己の白濁に行き当たっても、音を立てて一絡げに啜っている。
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