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姦譎の華
第31章 31
31
「ね、手」
安物のライターはなかなか点かなかった。中洲を呆然と見つめている男の子に声をかけ、火元を囲わせる。ようやく灯った火種に先端をかざして吸い込んだが、吐き出す煙は虚空に出るや消えていった。何だか味も薄い。
「だ、大丈夫……、なんですか?」
たしか、大通りをずっと行った先には清掃工場があったはずだ。だからこんな時間でも、何台ものダンプが往来するのだろう。これだけの運転手に見られていたら、誰かが通報しないとも限らない。それが気がかりなのだろうか。それとも、こんな寒空の中あの恰好で放り出しているのである。風邪を引いてしまう程度では済まないかもしれない。それを心配しているのだろうか。
「……おねーさんに任せとけば大丈夫」
愛紗実は囁いたあと、もう一段背伸びをして彼の耳に唇を押し付けた。大サービスだ。耳朶から返されてくる自分の息は熱く湿っていた。彼を悦ばせようとしたというよりも、騒めき立つ気分を落ち着かせたかった。
「連れてこい」
やっとボタンを押し、隷奴たちに命じる。
男たちは、車道が赤に変わるや、多英の元へと駆け寄っていった。
「……行こう」
島尾が脇腹を抱えて立たせようとすると、てっきり氷のように冷たくなっていると思っていたのに、触れた肌はむしろ指の血流を癒してきた。よろよろと立ち上がった口元から流れ出る白息の麗しさたるや、ビキニから突き出る鞠球のようなバストよりも、唇のほうに目を奪われてしまう。あの、亀頭を濡らしてくれた温かな唾液、裏筋を愛おしんでくれた滑らかな舌……。
(うおぅっ……!)
多英を支えて道を渡らせながら、トランクスを突き破らんばかりに肉茎が突っ張った。
愛紗実は遊びのつもりでやったのかもしれないが、貞操帯に囲われた日々は死んでしまいそうな煩悶に苦しめられた。ケージが邪魔をして肉茎のどこにも触れることはできず、小便器では隣から覗かれてしまうから個室にて用を足すのだが、尿道に挿し入れられたプラグによって排泄は行えるものの、皮を捲って抑え、幹胴を支えるいつもの感触すら得られない。
「ね、手」
安物のライターはなかなか点かなかった。中洲を呆然と見つめている男の子に声をかけ、火元を囲わせる。ようやく灯った火種に先端をかざして吸い込んだが、吐き出す煙は虚空に出るや消えていった。何だか味も薄い。
「だ、大丈夫……、なんですか?」
たしか、大通りをずっと行った先には清掃工場があったはずだ。だからこんな時間でも、何台ものダンプが往来するのだろう。これだけの運転手に見られていたら、誰かが通報しないとも限らない。それが気がかりなのだろうか。それとも、こんな寒空の中あの恰好で放り出しているのである。風邪を引いてしまう程度では済まないかもしれない。それを心配しているのだろうか。
「……おねーさんに任せとけば大丈夫」
愛紗実は囁いたあと、もう一段背伸びをして彼の耳に唇を押し付けた。大サービスだ。耳朶から返されてくる自分の息は熱く湿っていた。彼を悦ばせようとしたというよりも、騒めき立つ気分を落ち着かせたかった。
「連れてこい」
やっとボタンを押し、隷奴たちに命じる。
男たちは、車道が赤に変わるや、多英の元へと駆け寄っていった。
「……行こう」
島尾が脇腹を抱えて立たせようとすると、てっきり氷のように冷たくなっていると思っていたのに、触れた肌はむしろ指の血流を癒してきた。よろよろと立ち上がった口元から流れ出る白息の麗しさたるや、ビキニから突き出る鞠球のようなバストよりも、唇のほうに目を奪われてしまう。あの、亀頭を濡らしてくれた温かな唾液、裏筋を愛おしんでくれた滑らかな舌……。
(うおぅっ……!)
多英を支えて道を渡らせながら、トランクスを突き破らんばかりに肉茎が突っ張った。
愛紗実は遊びのつもりでやったのかもしれないが、貞操帯に囲われた日々は死んでしまいそうな煩悶に苦しめられた。ケージが邪魔をして肉茎のどこにも触れることはできず、小便器では隣から覗かれてしまうから個室にて用を足すのだが、尿道に挿し入れられたプラグによって排泄は行えるものの、皮を捲って抑え、幹胴を支えるいつもの感触すら得られない。