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姦譎の華
第31章 31
 押す手のすぐ下では、パンプスを鳴らすたびに麗しいヒップが揺れている。ゴム帯の食い込む付け根の肉付きが、左右を向くたび宙に微震を残している。このヒップには何度も顔を突っ込んできたが、今こそ最も、豊穣の狭間へとダイブをしたかった。秘布とは異なり、ゴム製のショーツは聖女のエキスを全く吸収しないらしく、浮かぶように遊揺する流線型の両脇に小さな光が見える。蜜も、汗も、たとえ身肌の汚れや排泄が混じっていたとしても、音を立てて啜り、舌の上に転がしたい。

(おはぁっ……、あああっ……!)

 毛穴のひとつも感じさせなかった滑らかな舌触りを思い出すと、腰がカクカクと震えた。詰栓が必要なほど、尿道口からは先走りが漏れっぱなしだった。

 どこで、箍が外れてしまったのだろう。

 脅迫に成功した日、聖女が身につけている秘布を手に入れた。神棚を拵えて奉祀するに値する逸品。その霊験には、感謝してもし尽せなかった。しかしすぐ翌日には、憧れの象徴たるべき黒のストッキングと、淫らな蜜のふんだんに染みたTバックも手に入れることができた。それだけではない、まさか脚間から泉と湧いた聖水をも、ペットボトルに満タン頂くことができたのである。

 かつて同級生の女子に蹴られ、踏みつけられ、屈辱的な恰好で放尿と射精を強いられた自分が。集めた下着を嗅ぎながら、寓想で射液を搾り出すしかなかった自分が。

 応接室では虫の息となるまで交った。その一点のみでも末期の最も彩やかな走馬灯となるはずだったのに、倉庫では半日をかけ、つい前日までは物陰からじっと眺めているしかなかった美脚へ、思う存分肉槌を擦り付けることもできた。

 欲しい欲しいと思っていたものが次々と手に入り、したいしたいと思ってきたことがあまねく叶えられると、プレイルームへ臨んだときには、聖女が美しくもイヤラしい一人の女に見えた。見えてしまった。
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