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姦譎の華
第32章 32
 母のほうから率先して、牡の杭の前にひれ伏しているらしい。ヒップが休むことなくくねっている。

「ああ、もう……だ、だめ、だ……」
「……んふっ」
 微笑んだ母は、最後にもう一度ねっとりと嚢から竿を辿ると、いいよ、と囁いた。「……っ、あ、……あはっ、あ、熱い……すごい……」

 先端から飛び出す糊のような粘液を額に被っている。垂れてきた雫を満面の笑顔で唇に泡立たせ、

「ああ……、ね。いいでしょ、私。……んっ、……そこらのブ、ブスなんかより、ず、ずっと……」

(んぁっ……)

 同じ格好をした股ぐらが応えた。男の手で母の尻肉が真後ろから割られると、自分も急いで片手を下着の深くに差し入れた。

 弓反りになって喚く母と同時に、指を中へと及ばせた。初めて触る自分の内部は、襞が粘液にまみれ、指腹が擦るたびに蠢いていた。漏らさずにはいられない声を母の歓呼の中に隠し、同期させて体の中を掻き回す。

「もうグチョグチョだ……、ほら、ここだろ、ここ?」
「ひあっ……、そ、そこよっ。……ああっ、いいっ」

 もちろん、どこを触わられているのかは見えない。

(いっ……やっ……!)

 しかしきっと母も、擦られているのはココだと思えた。強烈な爽波が背を駆ける。さっき18になった。オトナになった日に憶える肉悦に、腰が淫らにくねついた。あちらでは肉杭が母の牝の穴へと突き刺さろうとしている。しかしこちらには肉杭はない。未通の穴へ突き刺すべき杭を持った人は、いまだ何の連絡も無く、ここにはいない。

「ああぁっ……! いいっ、かたいっ……、はぁっ……いいっ!」

(……いいっ……!)

 ──もう一つの懸念。

 実は、母と自分は、同類だったのではないだろうか。
 自分は優等な人間だと思ってきたが、違ったのではないだろうか。

 小学校のころ、自分は優等であると自認し始めたのは、疎外感を紛らわせたかっただけなのではないか。自分は人より可愛いから、そう思い込むことによって、潰れそうだった心を守っていたのではないだろうか。
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