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姦譎の華
第33章 33
 島尾と稲田には悪いが、肉の繋がりでありさえすれば、何でもよかった。こんな場所で、こんな恰好で貫かれ、串刺しにされたまま、また、絶頂を迎える……迎えることができるのだ。

(は、早く……)

 何をそんな勿体ぶっているのか、男の子はいやにモタモタとしていた。一思いにやってくれとねだるにも、リングのせいでうまく伝えることができないから、自らヒップを挿し入れていこうとしたら、

「ほーらっ、がんばって、ミツルくんっ」

 愛紗実の呼びかけとともに、青臭い肉槍がヌブリと貫いてきた。

「アアァッ……!」

 低い姿勢を保ったまま、樹皮を毟らんばかりに爪を立てる。振り返らなくとも、背後の愛紗実が意地の悪い笑みを浮かべているのは間違いはなかった。

 彼女ならば、もっと車の運転が上手い男を知っているだろう。中年男たちを差し置いて凌辱させるのならば、もっと手際の良い男だって、いくらでもいただろう。

 亀頭だけが挿ったときは、律動が始まればすぐに絶頂してしまう、いやともすれば、最奥に触れられただけで達してしまう、そう決めてかかっていた。あえてこの子を選んだ愛紗実もまた、ミツルという名の男の子に姦されて昇天する自分の姿を、とことん嘲嗤う気でいたにちがいない。

「ああっ……、あ、き、気持ちいい、こ、これが、女の人の中……気持ちいいよぉ……」

 だが──
 多英を叫ばせたのは、彼の名を知った驚きだけだった。牡と繋がっても身肉は躍ることなく、蜜がヌメろうが、襞が摩すられようが、情欲の煽られる兆しがまるで見出されない。

「わ、もう出そ、……な、中……わっ、わっ」

 迸る射液も勢いのみ、早い遅いの問題ですらなかった。
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