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姦譎の華
第33章 33
「あれ、もう出ちゃった? ……。……うんうん、卒業おめでとー」
おそらく愛紗実も内心は不満を残していたのだろうが、男の子がウエストにしがみついたまま脈動を終えると、軽く手を叩いて近づいてきた。
「す、すごく気持ちよかった……です。こ、こんなキレイな女の人と……初めてさせてもらえたなんて、最高ですぅ……」
(……そっか……)
常軌を逸した現場から彼が逃げ出さずにいたのは、「させてもらえる」密約があったからだった。誰でもいい、異性の性器に、自分の性器を挿入してみたかったんです。言葉で聞かされなくとも、往来する肉幹の感触がそう露骨に伝えていた。同じ牡の形でありながら、島尾や稲田、ましてや愛紗実から受けた姦穿と比べると、全く別の行為だったとすら思えた。彼にとっての今の自分は、射精をさせてもらえる、ただの「キレイな女の人」なのだ。
男の子の感想を聞いた愛紗実が、
「は? キレイな人って、……誰のこと?」
「え、いや……、ちがうんです。その、えっと、あ、愛紗実さんと比べるわけではなく……」
「あはっ……!」
男の子が穏当な表現を見つけるのを待ち切れずにふき出し、愛紗実は今度はひとつ、大きく手を打ち鳴らした。あまりに場違いな可笑がりように、硬度の衰えた肉杭が抜け出ていく。
「どうしたん、ですか……?」
「ふうっ……はあ、……んもー、やっぱりみんな騙されちゃう。しっかりしてよミツル君。よく見てよ、ブスでしょ?」
「でもそれは……こんなの顔に付けられてたら、誰だって……」
「ちがうちがう。これ取ったってブスなもんはブスなの。ミツルくんだってほんとはさー、私よりもこのババアのこと、キレイなヒトだなー、とか思ってるんでしょ?」
「い、いいえっ、だから、女性のことを顔で……」
「いーのいーの、男なんてみんなそんなもん。バカだからね。そんなバカに媚びようとしてるブスなんか、私の足元にも及ばないっての」
愛紗実は男の子を諭しているというよりも、衆生の全てに同意を求めるかのように、強風へ向けて高らかに吐き捨てていた。紆曲する松の枝間を、飛行機が飛んでいく。現実を知らしめる吐音を聞きながら、多英は芝生に膝をついた。
美しくなければ、意味がない──
まだ、男の子の放った白濁が流れ出ていたが、多英は自らリングギャグを剥ぎ取り、遠くへと投げ棄てた。
おそらく愛紗実も内心は不満を残していたのだろうが、男の子がウエストにしがみついたまま脈動を終えると、軽く手を叩いて近づいてきた。
「す、すごく気持ちよかった……です。こ、こんなキレイな女の人と……初めてさせてもらえたなんて、最高ですぅ……」
(……そっか……)
常軌を逸した現場から彼が逃げ出さずにいたのは、「させてもらえる」密約があったからだった。誰でもいい、異性の性器に、自分の性器を挿入してみたかったんです。言葉で聞かされなくとも、往来する肉幹の感触がそう露骨に伝えていた。同じ牡の形でありながら、島尾や稲田、ましてや愛紗実から受けた姦穿と比べると、全く別の行為だったとすら思えた。彼にとっての今の自分は、射精をさせてもらえる、ただの「キレイな女の人」なのだ。
男の子の感想を聞いた愛紗実が、
「は? キレイな人って、……誰のこと?」
「え、いや……、ちがうんです。その、えっと、あ、愛紗実さんと比べるわけではなく……」
「あはっ……!」
男の子が穏当な表現を見つけるのを待ち切れずにふき出し、愛紗実は今度はひとつ、大きく手を打ち鳴らした。あまりに場違いな可笑がりように、硬度の衰えた肉杭が抜け出ていく。
「どうしたん、ですか……?」
「ふうっ……はあ、……んもー、やっぱりみんな騙されちゃう。しっかりしてよミツル君。よく見てよ、ブスでしょ?」
「でもそれは……こんなの顔に付けられてたら、誰だって……」
「ちがうちがう。これ取ったってブスなもんはブスなの。ミツルくんだってほんとはさー、私よりもこのババアのこと、キレイなヒトだなー、とか思ってるんでしょ?」
「い、いいえっ、だから、女性のことを顔で……」
「いーのいーの、男なんてみんなそんなもん。バカだからね。そんなバカに媚びようとしてるブスなんか、私の足元にも及ばないっての」
愛紗実は男の子を諭しているというよりも、衆生の全てに同意を求めるかのように、強風へ向けて高らかに吐き捨てていた。紆曲する松の枝間を、飛行機が飛んでいく。現実を知らしめる吐音を聞きながら、多英は芝生に膝をついた。
美しくなければ、意味がない──
まだ、男の子の放った白濁が流れ出ていたが、多英は自らリングギャグを剥ぎ取り、遠くへと投げ棄てた。