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姦譎の華
第7章 7
「あっ……、あんっ、いい。そこきもちいいよぉ……」
「おい、あんまり、声だすと……」
「ね、いい? わたし、いい、でしょ。わたし、キレイでキモチイイでしょ?」
「っ……、く、……ああ、す、すごくステキだ」
杭を呑み込む縁がグッと搾られた。母は憑かれたように何度も男へねだり、褒められるたびに喘ぎと泡垂れを漏らしている。
──父が、母を突き飛ばしたときを思い出した。
ふすまで仕切られた向こうの世界で、男とぶつかり合わせる尻の持ち主として母を見ることができたとき、喉を詰まらせていたいがらみが、すっと肚へと落ちていった。
母は別の女に父を奪われた。そしてその理由を、事実を、二文字の罵声でもって突きつけられた。
だから母は夜の仕事を始め、金が手に入るようになると、自身を美しく飾り立てることに執念を燃やした。それはいくらか成功していた。こうして家へ連れ込んだ男が、娘がそばにいたとしても、牡の突起を刺して出し挿れさせずにはいられないほど、キレイでステキでキモチイイ女になったのだ。たとえどんなに汚らしいオッサンが相手でも、母は嬉しくて仕方がない。
「んあっ、おねがい、もっと言って」
しかし、そこまでしても……まだ、不安なのだ。
鏡を覗くと、自分の顔立ちの中には母の要素を見出すことができる。親子なんだから当たり前だ。そしてまた、父の顔立ちも感じることができる。半分は父からもらったのだから、これも当たり前だ。
自惚れたいわけではないが、母と父からそれぞれいいところだけをもらい、それぞれが絶妙に、いい具合に配置されていると思う。あまり食べれずにきたのに何故か背は伸び、やがて他の子に先駆けて、胸とお尻が膨らんでくるのだろう。このまま成長していけば、他との優等さはよりはっきりとしていく。
きっと母は、怨讐たる父の面影を見てしまうことよりも、血を分けた娘が──最も近しい女が、自分を上回る美しさを獲得するのを──女として圧倒してくるのを、この上もなく恐れている。
父から投げかけられたのと同じ蔑称を、ぶつけずにはいられないほど。
「おい、あんまり、声だすと……」
「ね、いい? わたし、いい、でしょ。わたし、キレイでキモチイイでしょ?」
「っ……、く、……ああ、す、すごくステキだ」
杭を呑み込む縁がグッと搾られた。母は憑かれたように何度も男へねだり、褒められるたびに喘ぎと泡垂れを漏らしている。
──父が、母を突き飛ばしたときを思い出した。
ふすまで仕切られた向こうの世界で、男とぶつかり合わせる尻の持ち主として母を見ることができたとき、喉を詰まらせていたいがらみが、すっと肚へと落ちていった。
母は別の女に父を奪われた。そしてその理由を、事実を、二文字の罵声でもって突きつけられた。
だから母は夜の仕事を始め、金が手に入るようになると、自身を美しく飾り立てることに執念を燃やした。それはいくらか成功していた。こうして家へ連れ込んだ男が、娘がそばにいたとしても、牡の突起を刺して出し挿れさせずにはいられないほど、キレイでステキでキモチイイ女になったのだ。たとえどんなに汚らしいオッサンが相手でも、母は嬉しくて仕方がない。
「んあっ、おねがい、もっと言って」
しかし、そこまでしても……まだ、不安なのだ。
鏡を覗くと、自分の顔立ちの中には母の要素を見出すことができる。親子なんだから当たり前だ。そしてまた、父の顔立ちも感じることができる。半分は父からもらったのだから、これも当たり前だ。
自惚れたいわけではないが、母と父からそれぞれいいところだけをもらい、それぞれが絶妙に、いい具合に配置されていると思う。あまり食べれずにきたのに何故か背は伸び、やがて他の子に先駆けて、胸とお尻が膨らんでくるのだろう。このまま成長していけば、他との優等さはよりはっきりとしていく。
きっと母は、怨讐たる父の面影を見てしまうことよりも、血を分けた娘が──最も近しい女が、自分を上回る美しさを獲得するのを──女として圧倒してくるのを、この上もなく恐れている。
父から投げかけられたのと同じ蔑称を、ぶつけずにはいられないほど。