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姦譎の華
第1章 1
島尾は一歩進んだ。
女は前へ踏んで接触を拒もうとしたが、這いつくばる稲田の体に阻まれた。
積年の不摂生でぼってりと弛んだ腹がぶつかる感触に、島尾は以前満員電車の中で人に押され、さして可愛くもない女子高生に触れてしまったことを思い出した。ドアへ手をついて押し迫る人垣から守ってやっていたのに、目の前でスマホが開かれるや、『キモいオヤジが痴漢してきてんだけど』、と投稿されてしまったのだ。
これでも、女は男より損だと言えるのか。
男は、女よりも得だと?
「こっ、このエロっちいカラダなら、ちっ、痴漢されたことあるんだろ?」
「……頭おかしいの?」
女の返答に、島尾は無理矢理、もう半歩進んだ。
腹が歪み、接面が広くなる。着衣越しに伝わってくる心地よさは、女子高生のそれとは比べ物にならない。そしてここまで密すると、勃起の頂点がヒップへと当たる。
「触ってやるからじっとしてろっ」
湿った息を小憎らしいうなじへと吐きかけ、一層声を上ずらせて手を前へと回す。括れたウエストのおかげか、腕ごと巻き込んでもジャケットの袷に届き、一つきりのボタンを外すのは容易かった。両肩から外して剥き取ろうとするも、袖から抜くには女との間のスペースが足らない。だが、心地よい女体から身を離したくはなかったし、何よりもう、すでに目的は達成されていた。
肩越しに覗き込むと、白地を膨らませる隆起を臨むことができた。ホワイトシャツは裾に向けて身幅が絞られているらしい。この女がこれを選んでいるのは、果たしてシャープなシルエットを作りたいがためだろうか。
ふくらみを包み収めた白地は優美な丸みにぴったりと沿い、裾野に至ってようやく稜線に皺を刻んでその高さを強調している。ジャケットを引いた時に垣間見た背中だって、波を横へと浮かばせ、生地が前に引っ張られていることを知らしめていた。
女は前へ踏んで接触を拒もうとしたが、這いつくばる稲田の体に阻まれた。
積年の不摂生でぼってりと弛んだ腹がぶつかる感触に、島尾は以前満員電車の中で人に押され、さして可愛くもない女子高生に触れてしまったことを思い出した。ドアへ手をついて押し迫る人垣から守ってやっていたのに、目の前でスマホが開かれるや、『キモいオヤジが痴漢してきてんだけど』、と投稿されてしまったのだ。
これでも、女は男より損だと言えるのか。
男は、女よりも得だと?
「こっ、このエロっちいカラダなら、ちっ、痴漢されたことあるんだろ?」
「……頭おかしいの?」
女の返答に、島尾は無理矢理、もう半歩進んだ。
腹が歪み、接面が広くなる。着衣越しに伝わってくる心地よさは、女子高生のそれとは比べ物にならない。そしてここまで密すると、勃起の頂点がヒップへと当たる。
「触ってやるからじっとしてろっ」
湿った息を小憎らしいうなじへと吐きかけ、一層声を上ずらせて手を前へと回す。括れたウエストのおかげか、腕ごと巻き込んでもジャケットの袷に届き、一つきりのボタンを外すのは容易かった。両肩から外して剥き取ろうとするも、袖から抜くには女との間のスペースが足らない。だが、心地よい女体から身を離したくはなかったし、何よりもう、すでに目的は達成されていた。
肩越しに覗き込むと、白地を膨らませる隆起を臨むことができた。ホワイトシャツは裾に向けて身幅が絞られているらしい。この女がこれを選んでいるのは、果たしてシャープなシルエットを作りたいがためだろうか。
ふくらみを包み収めた白地は優美な丸みにぴったりと沿い、裾野に至ってようやく稜線に皺を刻んでその高さを強調している。ジャケットを引いた時に垣間見た背中だって、波を横へと浮かばせ、生地が前に引っ張られていることを知らしめていた。