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姦譎の華
第1章 1
 きっとこの女は、優麗なバストを誇りたいがために、あえてこんなブラウスを選んでいる。

(ちくしょう……)

 どんな女であっても、島尾が刹那でも胸元へ目を向けようものなら、あからさまな不快感を示してきた。中を盗み見ようとしたわけでもないのに、視線を導くような服を自らの意志で着ているくせに、どうせそんな大した胸でもないくせに、まるで最低最悪の人間扱いだった。この女もまた、他の女たちとは異なり熟視されてしかるべきバストの持ち主だというのに、胸元を一瞥しようものなら、満腔の侮蔑を放ってきたことだろう。

 眺め回すだけなら、痴漢ではない。
 それに痴漢は、ジャケットを引ん剥き、堂々と触るなんて真似はしない。

 抱きつきを解き、脇腹と腕との間へ手を突っ込む。厚い上着越しとは段違いの感触に、これがバストへ及んだ時の手触りは、数少なくも触れたことのある女の体全てを凌駕するだろうと確信できた。

 思う存分、揉む。揉み回す。揉み尽くしてやる──
 島尾の肉幹からもまた、トクトクと先走りが漏れていた。










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