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姦譎の華
第8章 8
 動悸が顔を上げさせたとき、鏡の中の女と目が合った。餌場へ顔を埋ずめる淫獣たちが見ていないのをいいことに、彼女の頬は紅潮し、眉尻は大きく下がっていた。毅然としていた立ち姿はもうそこになく、胸を前へ、腰を後ろへと差し出して、変態たちの為すがまま貪られている。

 応接室を去ろうとしたとき、稲田に呼び止められた。別の書類を渡され、まだ諦めていないのかと声に出して嗤ってやろうとしたところで、爪先から脳天までが凛冽に凍ごった。とっさの巧笑なんて出せるものではない顔つきを、状況の理解がついていないくせに、島尾は見逃さなかった。これが公になれば、美人すぎる秘書の評判は地に落ちるぞ。何の応用も利いていない、同じ文言で、同じ目的を果たそうとしてきた。

 何とも愚昧で、卑劣で、気色悪いオッサンたちだった。

 しかし、こんな奴らが相手でも、こんな目に遭うのだとしても、多英は要求を受け入れるしかなかった。

 むろん、光瑠のことを考えないではない。いかに脅されようが、彼らの言うがままになることは、恋人への裏切りに他ならない。

 それでも、気色悪い陵辱を受けるほうが、まだマシだ。
 直感は、即座にそう判断を下したのだった──

「おい、そろそろヤろう」
「ふぁ……」

 島尾が口を離すと、稲田も顔を引いた。

 ヤる。
 それが何を意味するのかは当然知れていたが、屈辱的な玩弄がやみ、ようやく終焉へ向けて事が動き出したことに、多英は一抹の安堵すら覚えていた。

 いかにも普段から女にありつけていない二人のことだ、きっとすぐに果てることだろう。

(……きっとそうよ)

 半ば自己暗示だった。
 懸念がつねに、薄煙のように胸の内に垂れこめていた。

「そこにらがっ……、あがっ、上がれ」

 身に残っていたブラをたどたどしく外した島尾が、噛み倒しながら中央に置かれた大きなローテーブルを指差した。腰掛けると、稲田がショーツのサイドをつかむ。
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