この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
姦譎の華
第8章 8
 動悸が顔を上げさせたとき、鏡の中の女と目が合った。餌場へ顔を埋ずめる淫獣たちが見ていないのをいいことに、彼女の頬は紅潮し、眉尻は大きく下がっていた。毅然としていた立ち姿はもうそこになく、胸を前へ、腰を後ろへと差し出して、変態たちの為すがまま貪られている。

 応接室を去ろうとしたとき、稲田に呼び止められた。別の書類を渡され、まだ諦めていないのかと声に出して嗤ってやろうとしたところで、爪先から脳天までが凛冽に凍ごった。とっさの巧笑なんて出せるものではない顔つきを、状況の理解がついていないくせに、島尾は見逃さなかった。これが公になれば、美人すぎる秘書の評判は地に落ちるぞ。何の応用も利いていない、同じ文言で、同じ目的を果たそうとしてきた。

 何とも愚昧で、卑劣で、気色悪いオッサンたちだった。

 しかし、こんな奴らが相手でも、こんな目に遭うのだとしても、多英は要求を受け入れるしかなかった。

 むろん、光瑠のことを考えないではない。いかに脅されようが、彼らの言うがままになることは、恋人への裏切りに他ならない。

 それでも、気色悪い陵辱を受けるほうが、まだマシだ。
 直感は、即座にそう判断を下したのだった──

「おい、そろそろヤろう」
「ふぁ……」

 島尾が口を離すと、稲田も顔を引いた。

 ヤる……それが何を意味するのかは当然知れていたが、屈辱的な玩弄がやみ、ようやく終焉へ向けて事が動き出したことに、多英は一抹の安堵すら覚えていた。

 いかにも普段から女にありつけていない二人のことだ、きっとすぐに果てることだろう。

(……きっとそうよ)

 半ば自己暗示だった。
 懸念がつねに、薄煙のように胸の内に垂れこめていた。

「そこにらがっ……、あがっ、上がれ」

 身に残っていたブラをたどたどしく外した島尾が、噛み倒しながら中央に置かれた大きなローテーブルを指差した。腰掛けると、稲田がショーツのサイドをつかむ。
/278ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ