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姦譎の華
第9章 9
 ニヤついた島尾は肩をぶつけるようにして稲田の隣にしゃがんだ。開脚した前へ二人もの男が入り込み、柔扉の両側に四点、指先があてがわれる。

 せぇのっ──不要な合図とともにくつろげられた。

 愚劣な男たちの前にM字でいるだけでも瞋恚は甚だしいのに、二人がかりで牝を剥き身にされて、髪の根があまねく灼きつく思いだった。とても足元を向くことはできず、踵の間隔を狭めたい衝動に眉間を寄せて宙空を睨みつけていても、二つの焦点が左右に広がる襞を手分けして辿っているのがわかる。

 いかに放埓に開扉されているか、口惜しさが限界を迎えて男たちを詰りたくなったとき、

「さっ、さすがはキレイなもんだ」
 もっと下品な嘲弄を投げかけると思ったのに、島尾の第一声は、やたら純朴な賞賛だった。「……でもヌルヌルだ。こいつはツバなんかじゃねえよな」

「い──」
 だから下衆な表現で牝肉の纏う蜜を指摘されても、紙一重で克己を保ちえた多英は、「嫌な男に乱暴されそうになると、女は本能的に体を護ろうとするの。そんなことも知らないの?」

 女に相手にされてないとね──怒りも悔しさも、そして疚しさをも、嘲りの中へと紛れさせようとした。

「……うっ、うるせぇっ! おいっ稲ちゃん、どけっ!」

 すると突然、島尾がキレた。

 稲田をなぎ倒し、膝をついてテーブルを登ってくる。トランクスを下ろそうとするが、先に脱いでから登らなかったがために手こずり、自分の要領の悪さを誰かのせいにするかのように唸っている。

(え……)

 島尾程度の男にいくらキレられようが、動じてしまう自分ではない。

 だが、やっとのことで全裸となった股間の中心で、一度目の射精と、新たに溢れた汁で湯気立ちそうな牡の哮りを目の当たりにして、多英の気構えは大きく揺らいだ。
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