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姦譎の華
第9章 9
 放出を終えた島尾が地響きを立ててテーブルの下へ落ちていくと、多英は拭浄できる物を探して上体を起こした。

 だが、すぐにバランスを崩した。

 いくら鍛えていても、脚が高々と持ち上がっては自ずと背は後ろへと傾く。気づけば手の戒めは解かれており、抑えつけていた張本人は、テーブルへ登って両脚を担ぎ上げていた。

「それでは、はっ、は、入らせて、いただきます。……ど、どうか、お、おゆるしを……」

 実り損ねた瓢箪のような肉叢から生いた腕が、ガッチリと太ももへ巻きつけられている。細長い胴に見合わぬ大きな頭部が角度を変え、盛大に先走りを漏らした脳天が門を開き始める。

「や──」
「ひゃあぁっ!!」

 奇声をあげた稲田は、一気に腰を進めた。
 再び、天板へ背をつかされる。甲を鼻へ押し当て、もう一方の手で頭を抱えた。

 火球が体内を走り抜けたが、擦過の痛みはなかった。

「あひゃっ、た、多英っ、さまぁ……、出ちゃぃ、あぉうっ、……いっ、いきなりぃっ、出てしまい、ましたぁ……」
 入門するやどぶどぶと粘液が迸り、これを緩和してくれたのだ。「ああ、多英さま、多英、さま……、ううっ、ま、まだ出てくるうっ……」

 しかし無痛の代償は大きかった。深い鰓が内部を擦り、残滓と言うには多すぎる汁液が、ビュルッ、ビュルッとふりかけられる。稲田はこれまで体を許してきた誰よりも長く、精発の余韻に浸った。もはや惰性で腰を前後させているのだろうに、どれだけ待っても肉槌は出ていこうとはせず、体液を垂れ流して身の内を掻き回し続ける。

(ち、ちょっと……、い、いつまで……)

 直姦された失意を、心ゆくまで牝肉を味わい尽くされる腹立たしさが上回っても、まだ槌先は往来を繰り返していた。

「──いつまでしてるつもりよっ!」

 多英は思い切り脚を捻り、力の抜けた腕を振り払った。流れ出る粘液とともに穢身が去り、瓢箪もまたテーブルの下へと落ちていく。縁の向こうに消える間際、まだ宙に向かって汁を放っていた。
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