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姦譎の華
第11章 11
 聖女は憐れな男に、この世で最も貴い織布を下賜されたのだ。それどころか、一の門である膝を割り、島尾とともに奥の門を指で開いても、生身の御神体をただ静かに啓龕してくださっている。

 滑らかに割れた女果からは淡やかな花弁が咲き洩れ、水蜜が室灯に照らされて、眼球を潰さんばかりの可憐さで煌めいていた。何か感想を述べていい顕形ではなかった。黙って舐めよう。謝儀として、隅々まで舐め尽くそう。懇ろにしゃぶって差し上げれば、きっと喜んでいただけるにちがいない。

 まさに顔を近づけようとしたとき、聞こえた──嫌な男に乱暴されそうになると、女は本能的に体を護ろうとするの。

 嫌な男に。

 頭蓋骨を内側から殴りつけられたような言葉にしょぼくれる暇なく、いきなり島尾に突き飛ばされた。かつて一緒に行ったピンサロで、嬢に悲鳴をあげさせた醜悪な肉幹が御神体へと襲いかかる。

 お救けしなければ。しかし動けなかった。
 手を抑えろ。島尾に命じられたら動けた。

 もしかしたら俺は、聖女が蹂躙されるところが見たいのではないだろうか?

 何という恐ろしいことを考えたのかと血の気が引いたが、逆に肉棒には血潮が流れ、管口のすぐ手前までが牡汁に満たされた。

(ああっ、多英様……)

 端末席でよりも峻烈に記憶が蘇り、便座に腰掛けたままジッパーを下ろすと、窮屈な姿勢にもかかわらず長細い肉槌がワイシャツの裾を押しのけて伸び上がった。

 性愛においては賎民であることも弁えず、無闇やたらと種汁を飛ばしたがる、不行状極まりない牡欲の化身。あの時と同じだった。島尾が御肌を穢し、御神体の無事を確かめようとテーブルを回ったら、翼を広げるように左右に伸びた脚の中心で、御錠口はむしろ神秘の光に満々ていた。
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